※ネタバレ含みます
映画「凶悪」がなかなかおもしろいのでレビューします。
心臓が弱い人、心優しい人は見ないほうが良いと思います。(まぁ見ようとも思わないでしょうが)
実話を元にした映画なので、リアリティがありますよ。
原作は、1999年に実際に起きた凶悪殺人事件「上申書殺人事件」を基に、獄中の死刑囚が告発した殺人事件の真相を新潮45編集部が暴き、首謀者逮捕に至るまでを描いた犯罪ドキュメント
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パッケージが山田孝之で、しかも極悪人みたいな顔をしてるので、山田孝之が極悪人かと思ったら全然違いました。
逆に、山田孝之はやたら正義感の強いジャーナリストでした。
紛らわしいですね。
極悪人のヤクザを演じるのは、薬でつかまったピエール瀧と、悪いことしてそうなのに捕まってないリリー・フランキーです。(偏見です)
どちらもほんとに売れっ子ですね。
日本の役者は人手不足か、と突っ込みたくなるほどよく見る二人です。
ピエール瀧がヤクザ、彼の ”先生” 役がリリー・フランキーです。
正直、どちらも良い味出してます。
映画では、ピエール瀧が警察に捕まり、その先生であるリリー・フランキーの悪事を、新聞記者である山田孝之にたれこみます。
自分だけ捕まるのはだるいから、リリー・フランキーも捕まえてくれ、ということです。
ただし、事件自体が古いので、週刊誌の上司は、記事にする事を許してくれません。
そこで山田孝之が、勝手に単独で調査を進めます。
そこから、リリー・フランキーの過去の悪事が描かれるのですが、この内容がおもしろいのです。
死体を焼却炉で焼いた直後に、クリスマスパーティでチキンを食べるシーンなんか、サイコパスそのものですね。
とある家族の爺さんがなかなか死なないので、残りの家族がヤクザ(ピエールとフランキー)に殺しをお願いする案件が出てきます。
爺さんに無理やり酒を飲ませて殺そうとしますが、爺さんも意外にしぶとくて、なかなか死にません。
ついには、切れた電線とスタンガンを使って電気ショックを浴びせて、面白がるといった悪魔っぷりです。
一方、記者である山田孝之のお母さんがボケ始めていて、家では嫁さんが世話を焼ききれず、ノイローゼになるシーンも出てきます。
実は、嫁はボケたお母さんを日常的に殴っていたことも最後で判明します。
自分が追ってた事件が内包する問題(介護問題)が、実は自分の身内にも起こっていたー!というオチです。
この映画の監督は、なかなか死なない老人問題(介護問題)を取り上げたかったのでしょう。
確かに、メディアではなかなか取り上げられない、でも相当深刻な問題ではありますよね。
リリーフランキー「老人を殺すと金が湧き出る。まるで油田だよー」
痛快です。
警察の怠慢も描かれています。
体に暴行の跡があるのに、自殺として処理していたり、山田孝之演じる記者がそれを指摘しても、
「上に報告しておきますー」の一点張りです。
ザ・日本のお役所って感じですね。
刑務所にいるピエール瀧はキリスト教になります。
牧師さんから「生きて罪を償いなさい」と言われます。
リリー・フランキーも捕まりますが、死刑ではなく、無期懲役でした。
一番最後に、リリー・フランキーと山田孝之の面会シーンでは、
リリーが「私を一番殺したいのは、被害者でもピエール瀧でもないよ」といって山田を指さします。
凶悪なサイコパスであるリリー・フランキーを殺したいのは、やたら正義感が強い記者の山田なのです。
リリー・フランキーの憎たらしい演技はさすがです。
※おまけ
あんまり関係無いですが、だいぶ最後のほうのシーンでおもしろかったのは、キーパーソンが車に轢かれるシーンです。
うまいカメラワークで本人が轢かれたように見えるシーンがあるのですが、スタントマンがひょっと入ってると思います。
がっつりトラックに轢かれて死んでしまうのですが、ぜんぜん死ぬほどの轢かれ方じゃないです(笑)
注意して見てみてください。
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