※ネタバレ含む
どんな映画?
育児放棄をテーマにした映画です。
実話を元にしています。
個人的に日本1の映画監督である是枝裕和(これえだひろかず)さんの作品です。
万引き家族、そして父になる、海街diary などおもしろい映画を連発してます。
誰も知らない の主演は柳楽優弥です。
この映画でカンヌ映画祭で最優秀主演男優賞を獲得しました。
当時、最年少かつ日本人で初受賞だったので、話題となったらしいです。
とまあ話題に事欠かない映画ですが、内容も当然、見る価値がある映画でした。
公開が2004年ですから、もう20年も前の話です。
当時は、育児放棄とかネグレクトは、どのくらい世間に浸透している社会問題だったんですかね?
まだまだ認知されていない問題だったと想像しますが、だとするとかなり衝撃的な映画だったと思います。
実際はけっこうネグレクトはあったのかもしれませんが、SNSも無い時代ですから、あまり一般的な問題ではなかったと思います。
是枝監督って本当に大事なところを描いてきますよね。
「そして父になる」
「ベイビーブローカー」
「万引き家族」
どれも放っておいたらまずい社会問題を扱ってますよね。
それでいて、映画としても、ちゃんと面白く撮るんだから才能がすごいです。
内容
さて、映画の内容です。
育児放棄をしている母親(YOU)と子供が4人、計5人で暮らしています。
タレント?のYOUが演じる母親ですが、ぜんぜん悪い母親に見えません。
ビッチ感はありますが、ちゃんとした母親って感じで、育児放棄をしそうには見えません。
YOUから出る良い人感があるからかも知れません。
だとしたらキャストミスかもしれません。
まぁそれはいいのですが、途中からぜんぜん家に帰ってこなくなります。
お金だけは、ちょこちょこ送ってるようですが。
柳楽優弥演じる長男が、他の3人の子供の面倒をみています。
長女は身長的に長男より大きいのですが、年齢は下のようです。だから変な感じがします。
次男と次女は、年齢的には5〜6歳くらいですかね。
長男は母親が返ってこない事を悟って、なんとかやりくりしようとします。
最初は万引きをしないいい子でしたが、最後は良心と戦いながら万引きをしてしまいます。
描写がうまいですね。
そして、中学生か高校生の少女と仲良くなり、その子が自らパパ活で1万円を稼いでくれたり、とすごいバイタリティーを発揮します。
パパ活はいつの時代でも盛んですねー
家賃が払われないから、と大家が部屋に訪ねて来たり、
隣の部屋の人にバレそうになったり、
しかしなぜかバレずに何ヶ月もやりくりします。
繰り返しますが、実話をもとにしています。
実際、育児放棄で子どもたちだけでやりくりしている家庭は、見えないだけでけっこういるんでしょう。
途中で、次女が死んでしまいます。
その死体を兄妹で埋める、という残酷な結末になっています。
印象的なシーン
この映画は印象に残るシーンのオンパレードです。
設定(というか実話)がそもそもショッキングですが、普通の人間では見ることがない、経験がたくさんできます。
母親がアバズレなので、子供4人は、自分の父親が誰なのか定かではありません。
父親かもしれないと思われる男たち二人くらいに、長男が金をもらいに行くシーンがあります。
タクシー運転手のキム兄と、パチンコ店員の遠藤憲一 です。
どちらも1万円か5千円を、渡してくれたような気がします。
遠藤憲一が
「次男はおれの子供じゃねーと思うよ、ゴムしてたからな」
と長男に言うシーンがありますが、なかなか衝撃でした。
アバズレもいればクズ男もいますね。
学校に行いたいけど行けない長男が、学校のフェンスで校内を眺めるシーンもあります。
長男が家に連れてきていた友達が「あいつの家くさいよ」と影でからかわれるシーンなんかも、涙ちょちょぎれます。
あとは忘れましたが、胸に来るシーンがたくさんです。
心して見てね
この映画はダークです。
実話を元にしているからこそ、よりダークです。
多少の脚色はあるものの、現実にある話を再現しているだけだからです。
バカ親は数しれずいますが、親は子を選べません。
こういう親に、当たってしまった子供に罪はありません。
だからこそ、見ていると行き場の無い怒りを覚えるかもしれません。
見る時は、心の準備をしてみてください。
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